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Life Career Interview 15|何歳からスタートしても、資格はスキルや経済力を上げる武器になる

音大を卒業してから、80歳まで働くことを見据えて資格を取得し、公認会計士に。現在は公認会計士の仕事をしながら、異なる分野でもキャリアを展開する角田朋子さんにインタビューさせていただきました。

資格を活かした仕事の醍醐味は専門性のあるスキルを身につけることだけでなく、長期的に自由に仕事をし続けることができるというメリットがあります。

今、資格取得を検討されている方や、80歳まで仕事を続けるスキルが欲しいと考えている方にとって、前向きで希望になるインタビューです。

角田 朋子(つのだ ともこ)さん | 公認会計士

大阪音楽大学短期大学部声楽科卒。監査法人トーマツ(現有限責任監査法人トーマツ)監査部門、個人事務所開設を経て、有限責任監査法人トーマツ・アドバイザリー事業本部にてM&Aや事業再生業務に従事。現在は中小企業のM&A及びコンサルティングを中心に、女性向け士業独立支援や女性を中心とした役員・管理職の紹介等も手掛ける。上場企業の社外取締役も兼任。

音大もキャリアウーマンへの憧れを捨てきれず両方にチャレンジ

ーー音大卒なのに、なぜ公認会計士になろうと思ったのですか?

角田さん:中高一貫の女子中高に通っていたので、中学3年の頃に進路を決めるタイミングがあります。その頃声楽を習っていて、声楽の先生から音大に行くことを薦められたのがきっかけです。

一方で、中学生の頃に男女雇用機会均等法が出来た影響で、キャリアウーマンへの憧れもありました。

どちらも選べなかったので、大学は好きな事を選び、大学卒業後にはキャリアを形成できるような仕事に就きたいと考えました。

大人の常識から考えると無謀な計画のように思えますが、当時中学生の私にはどちらも大切だったのでいずれかを選ぶなんてことができず、それなら両方をやってしまおうと思いました。もちろん、一生を左右する重大な決断ですから、半年近く真剣に考えたうえでの結論です。

両親とは何度も話し合いをし、音大を卒業したら社会人になるという約束で音大受験をさせてもらいました。

音大は滑り止めの短大しか受からなかったので、卒業を目前にしても、どうしても音楽を諦めきれない気持ちがあってプラス2年、音楽の勉強を続けました。2年経ったときには、音楽を続ける気持ちにも踏ん切りがつきました。

余裕のある人生後半にするために選択した国家資格取得の道

ーー卒業後、なぜ公認会計士になろうと思ったのですか?

角田さん:就職活動をするとしたら、何か資格を取得して、それを活かせる仕事をしたいと考えて、手に取った本が国家資格試験ガイド。

そこで、「公認会計士」の資格が目に留まりました。

もともと公認会計士の存在は知っていたのですが、具体的な仕事内容や年収などの情報は本を読んで初めて理解しました。

高校生のときに、父親のすすめで株を買ってみるように言われて、小学生からずっと貯めてきた貯金を使って電力株を購入していました。

購入すると、株価や企業決算書を見たり、業界のことを調べてみたり、高校生でも理解できる範囲で勉強をするようになって。

当時はこの道に進むとはまったく考えていませんでしたが、株を購入した経験を思い出して、市場の番人である監査の仕事に意義を感じやってみたいと思ったのです。

ただ、両親からは「音大生で何の基礎知識もないのに、7科目を一度に合格しないといけない公認会計士は難しいので、1科目ずつ受験できる税理士の方が良いのではないか」と言われました。

そのため、初年度は税理士の簿記論と財務諸表論を勉強し、2年目からはこっそり公認会計士試験の勉強を始めました。

両親から、「大学までの学費は出したので親の責任は果たした」と言われたので受験学校の学費は自分で工面することにし、派遣やアルバイトをしながら勉強していたので、受験期間は長引きました。

最後の1年は働かずに勉強に集中したので合格できました。途中で中だるみしたため合計6回受験しましたが、受験に専念すればもう少し短期間で合格できたかもしれません。

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ーー同世代の女性が楽しんでいるタイミング、なぜ頑張ることができたのですか?

角田さん:確かに、同世代女子がおしゃれをしている時に勉強するのは辛いなと思う事もありました。それでも20代のほとんどを勉強に費やせたのは、「人生の後半に勝つため」です。

「40歳や50歳を超えても続けられるような職に就く」という事を決めていたからこそ、自分の道を諦めることなく進む事ができました。

また、中高生の頃から、両親に「お金を出すからには口を出す」と言われていましたので、自分の自由にするには自分で稼いで人生を切り開くしかないと思っていました。

さらに、仮に結婚して夫の仕事の都合等から自分の人生に影響を受けるのは嫌だけど、仮に自分自身が選んだ道で苦労したとしても後悔はしないと思っていました。

それらを実現するためには、どうしても自分自身で稼げる必要があると思っていたのです。

資格をとることは、女性の経済力を上げるとともに、人生の自由度を高める手段になる

ーー公認会計士のお仕事について具体的に教えてください!

角田さん:公認会計士の多くは監査法人で監査業務をしています。監査とは簡単にいうと、上場している会社の決算書が正しいかどうかをチェックする仕事です。

具体的には、3月決算の場合、企業が決算を締めた後、おおよそ4月の2週目くらいから5月前半にかけて監査法人が企業に伺い、そこで財務諸表をチェックしていきます。

ちなみに、公認会計士と税理士の違いを質問されることが多いのですが、公認会計士は企業の財務諸表をチェックするという監査の仕事か、財務系のアドバイザリーなどの企業向けのコンサルテーションがメインです。

一方税理士は、書類作成や税務申告などの実務がメイン。公認会計士は税理士登録をすれば税理士の仕事もできるんですよ。

ーー公認会計士や税理士など、女性が資格をとるメリットは大きそうですね。

角田さん:そうですね。国家資格など、企業ニーズの高い資格を得て、それを活用することができれば、自分自身の経済力をあげることにつながります。

高い経済力を得るには、それだけ稼げる仕事に就かないと実現しませんし、女性の場合、何かと男性よりも給与は低くなりがちです。このギャップを埋めるのが、資格だと思いました。

日本では共働きであっても、女性の方が家事を多めに分担するという暗幕の了解があるように思います。

もしかしたら男性が多く生活費を出していて、女性はその分家事をするというような、バランスなのかもしれませんが、それでも、共働きであれば、女性も男性と同じくらいの時間仕事をしています。女性の方が家事をする時間が多くなることに違和感を感じずにはいられません。

最初から自分の収入を確保しておくことができれば、お金を半分負担するから家事も平等に負担すると主張できますし、お互いに仕事を休んで充電期間を取れるというメリットもあると思っています。

男性にとっても、常に家族を養うだけの稼ぎがなければならないというプレッシャーから解放されるため、実際には良い事が多いと思っています。

男性と同じペースで頑張らなくても、働き続ける手段はある

ーー「人生100年時代」という言葉もありますが、角田さんはこの先どのくらい働いていきたいと考えているのですか?

角田さん:私の祖父は、80歳手前で社長は退いたものの、自分の会社に80代後半まで会社に通っていました。父も現在80代ですがまだ会社に行っています。そんな姿を身近にみていたので、同じくらいの年齢までは働くものだと思っています。

「公認会計士は最初の数年が大変だ」と言われていますが、その後独立したり一般企業への転職など幅広い分野を選択できるので、若いうちに少々苦労してスキルを付けることはお薦めです。

思い返せば、公認会計士になったときに憧れていたのは、監査報告書にサインをすることだったのですが、大手企業の監査報告書に自分でサインするには、監査法人のなかでも出世をしていかなければなりません。

でも、出世競争となると、どうしても体力のある男性の方が有利になるし、このまま同じように働き続けることは難しいかもしれないと思いました。

また、多くの男性は人生の大半を仕事に費やしていますが、定年を迎えるとその後生きがいをなくして元気がなくなる姿を見て寂しさを感じました。

私自身、60歳ではなく、その先も80歳くらいまでは働いていたいという考えもあり、長期的に働き続けられる働き方を自分で考え、選択したいと思うようになり、人生折り返しの40歳ごろに独立しました。

現実問題として年金の支給年齢も上がっているので、しっかりと稼げる仕事を維持しつつも、40代から仕事を若干減らして、長期旅行に行けるくらいの生活の余裕を持てるようにバランスを考えています。

余談ですが、監査法人を一度退職しても戻ることができます。実際に私は35歳で一旦独立して37歳で同じ監査法人に戻りました。

監査法人で幅広く経験を積み、専門分野ができたら自分で独立をする。でも自分の専門分野を広げたいと思ったら、監査法人に再度入社して新しい分野を学ぶこともできる。公認会計士としてのキャリアパスは、柔軟に描くことができるので、私にとってはとても価値ある資格だと思います。

ーー独立をされて、これからどんなキャリアパスを描かれているのですか?

角田さん:私は、人生のすべてを会計士の仕事だけで生きようとは思っていないんですよ。

会計士の仕事をしながら、ヴィジョン心理学をベースとしたトレーニングを学び、カウンセラーの仕事もしています。

経営コンサルの仕事をする際にも、経営者の心に寄り添いながらサービス提供したりしながら、個人や企業のお役に立ちたいと考えています。

また、独立後には20年間ブランクがあった声楽を再開し、今は細々と続けていているのですが、60歳の区切りにはリサイタルをしたいなと思っているんですよ。やりたいことは沢山あり夢は無限に広がります。

それと同時に、瞑想やお祈りなど自分の内面を見つめる時間を多くとり、心の内面を磨くことも大切にしています。

心の声を聞き、ありのままの自分を生きる。自然、地球、そして宇宙と調和する」をテーマにしてるのですが、社会に合わせて自分を変えたり、自分を偽っているものを全部取り払って、ありのままに生きていきたいと思っています。

編集部より

いかがでしたでしょうか。

男女雇用機会均等法が施行された年、キャリアウーマンに憧れをもち、80歳まで働くことを見据えて、資格を取得の上、公認会計士として働く角田さんにお話をうかがいました。

資格を取得したのが30歳であったとしても、国家資格の知見をベースに、40歳・50歳になっても仕事をし続けることができるように計画的に過ごされているというお話は、長い視点でキャリアを考えることの大切さを教えてくださいました。

資格を活かした仕事の醍醐味は専門性のあるスキルを身につけることだけでなく、長期的に仕事をし続けるという目的も実現し、さらには女性の経済力を向上させることにつながると感じたインタビューでした。