昨年「絶対に年収1000万円以上の男性と結婚したい」というワードが注目を集めました。
できることなら「高年収の男性と結婚して専業主婦になりたい!」と思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。
平成26年に実施した内閣府の調査によると、女性は結婚相手に求める条件を「一緒にいて楽しいこと」「一緒にいて気を使わないこと」を上位にあげつつ、「金銭感覚」「経済力がある」「家事分担」「職種」「学歴」など、結婚相手に求める条件は数年前より多くなっています。
はたして実際に年収1000万円の男性はどの程度いるのか、また世帯年収1000万円の片働き世帯と共働き世帯の家計収支と将来もらえる年金受給金額の差を調べてみました。
年収1000万円以上の男性はどの程度いるのか
男女問わず、年収1000万円以上の人は4.3%
上の円グラフは、国税庁の民間給与実態統計調査の結果です。
この調査によると、日本国内における年収1000万円を超える人(性別不問)の割合は4.3%。つまり、96%の方は年収1000万円未満で生活をしていることになります。
年収1000万円以上の男性は6.8%
- 1000万円超~1500万円以下:5.0%(140万人)
- 1500万円超~2000万円以下:1.1%(30万人)
- 2000万円超~2500万円以下:0.3%(9万人)
- 2500万円超:0.4%(10万人)
上の円グラフは同じく民間給与実態統計調査の結果ですが、男性で年収1000万円以上の方の比率は6.8%となりました。
この6.8%の年収金額内訳を人数でみると多いように見えますね。
ここで気になるのは、該当する男性の年齢層。あまりに高齢すぎては「高年収の男性と結婚して専業主婦になりたい!」という想いはかないません。
年収1000万円以上の結婚適齢期の男性の割合は0.5%
結婚相手として考えたとき、20代・30代・40代の男性のうち、どのくらいの方々が年収1000万円の仕事をしているのでしょうか。
厚生労働省の賃金構造基本統計調査をみると、年収1000万円以上の男性の世代別割合について調査結果がありました。
- 25歳~29歳:0.0%
- 30歳~34歳:0.1%
- 35歳~39歳:0.2%
- 40歳~44歳:0.2%
年収1000万円以上の20代はほぼ皆無!
30代~40代になり、やっと0.5%の男性が該当するという現状です。結婚適齢期の世代では年収1000万円以上の男性はなかなかいないということがわかりました。
つまり、結婚相手として年収1000万円以上の男性を見つけようとしても、それはあまり現実的ではないということです。
一般的な正社員男性の平均年収は540万円
国税庁の民間給与実態統計調査によると、1年を通じて勤務した給与所得者の年間の平均給与は422万円で、これを男女別にみると、男性521万円、女性280万円でした。
また、正規社員・非正規社員別でみると、1年を通じて勤務した給与所得者の平均給与は正社員は487万円、非正規社員は172万円です。
男女別では、正規社員男性は540万円、正規社員女性は373万円、非正規社員男性は228万円、非正規社員女性は148万円。
つまり、結婚相手が正社員だった場合の年収金額は、平均して540万円ということになります。
年収1000万円の男性との結婚ではなく、世帯年収で1000万円目指そう
ここまでみてきたように、結婚適齢期の男性が年収1000万円以上であることは非常に稀です。つまり、結婚相手に高年収を期待しても、そもそも出会えない確率が高かったのです。
しかし、年収1000万円の生活を目指す方法は他にもあります。
それは、片働きで年収1000万円ではなく、共働きで世帯年収1000万円にすることです。
片働きと共働きの手取年収を比較
世帯年収1000万円の片働きと共働きの手取年収の差を調べたデータがあります。
上の図は、世帯年収1000万円の片働きと共働き(夫500万円・妻500万円、夫600万円・妻400万円)の手取年収の比較した結果です。
片働きで世帯年収1000万円の場合は手取り収入は約722万円。
これに対して、共働き(夫500万円、妻500万円)の場合は約771万円。
さらに、共働き(夫600万円、妻400万円)の場合は約769万円でした。
つまり、片働きよりも共働き世帯が約50万円手取年収が多いという結果になります。
片働き世帯の場合、配偶者控除など税制面で優遇されているというイメージを持ちやすいのですが、内訳をみてみると所得税・住民税に圧倒的な差があります。
同じ世帯年収1000万でも、手取額で考えると、片働き世帯は共働き世帯よりも年間50万円、10年間で500万円、20年間で1000万円も少なくなってしまうのです。
共働き主婦 vs. 専業主婦|収入・税金・年金・給付金を徹底比較
結婚や出産を機に「共働き主婦」か「専業主婦」かで悩む方も…。「収入」「支出」「税金」「年金」「給付金」「家事・育児」における、「共働き主婦」「専業主婦」それぞれの違いを調べてみました。
片働きと共働きの家計支出額を比較
総務省の「平成26年全国消費実態調査」をベースにした、共働き世帯と片働き世帯で世帯年収が1000万円付近の1ヶ月の家計支出を比較したデータをみてみましょう。
※可処分所得とは、手取り額のことです
【AllAboutより】
上の表をみると、水道光熱費、家具・家事用品、被服費、保健・医療費など食費を除いた生活費は、共働きも片働きも支出額に大きな差はありません。
一方、支出額に差があるのは、交通・通信費に約2万円の差があります。この交通・通信費には自動車関連費も含まれるので、片働きの高年収男性にはマイカー保有などこだわりがあるようにも感じられます。
また、教養娯楽の支出額は、共働き世帯は37,374円に対し、片働き世帯は56,266円とこちらも約2万円の差があり、片働き世帯ほど外出する傾向もうかがえます。
これらの結果から、共働き世帯は10.5万円の黒字、片働き世帯は1.8万円の赤字になっていることがわかりました。
あくまで統計データですので参考数値ではありますが、片働きで年収1000万円だと、憧れの高年収に、ついつい財布のひもが緩んでしまうのかもしれませんね。
将来の年金支給額の差を比較
労働政策研究・研修機構が発表する「ユースフル労働統計2017」の調査によると、大学を卒業し60歳で退職するまで正社員として働き続けた場合の女性(共働き世帯の妻が正社員として働いた場合)の生涯賃金は、約2億2000万円とのことです。
専業主婦は年収がなく0円ですから、共働き世帯の正社員の妻が得る生涯年収と比較しても非常に大きな差であることがわかります。
では、共働き世帯の正社員の妻と片働き世帯の専業主婦で、将来の年金支給額の差はどの程度変わってくるのでしょうか。比較してみましょう。
まずは、共働き世帯の正社員の妻の場合の年金額です。月収を38万円として計算します。
- 平均標準報酬月額:38万円
- 第2号被保険者加入期間:22歳から60歳の38年
- 年金額合計:184万2000円(月額約15万円)
こちらは、新卒から定年まで働き続けた場合の金額です。結婚して出産したりすると金額は変わってきますが、働き続けることで基本的には月額15万円の年金を受け取ることができそうです。
では、専業主婦はどうでしょうか。
- 第3号被保険者加入期間:20歳から60歳の40年
- 年金額合計:77万9000円(月額約6万5000円)
この金額はあくまでも満額で、年度によっても変化しますが、専業主婦が受け取ることができる年金の目安の一つとされています。
こうして比較をすると、将来の年金額は月額で2.3倍もの差がありますね。
また、後学ですが、もし夫に先立たれてしまうと、とても厳しい老後生活になってしまいます。この場合には遺族年金が適用され、夫が受け取るはずだった年金を受け取ることができますが、その額は半分以下になってしまいます。つまり月約13万円ほどで生活しなければなりません。
以上のことから、世帯年収1000万の片働き世帯の専業主婦と共働き世帯の正社員女性とでは、生涯年収だけでなく、将来もらえる年金にも大きな差があることがわかります。
将来を考えたら共働きが好ましい
今回のポイントをまとめてみます。
- 結婚適齢期の世代では年収1000万円以上の男性はなかなかいない
- 正社員男性の年収は540万円が一般的
- 世帯年収1000万円の共働き世帯は、同額の片働き世帯より手取りが多い
- 年収1000万円の片働き世帯は、将来家計が火の車になる可能性がある
- 専業主婦と比べ、共働き妻の年金受給額は2.3倍高い
ここから学べることは、結婚相手にすべてを求めず、女性も働き続けることが望ましい、ということになります。年収の差と、老後の年金受給額を考えると正社員という雇用形態がベストです。
また、女性の場合、結婚、出産、育児、配偶者の転勤など、ライフイベントによって働き方を変える必要が出てくるかもしれません。
共働きという選択をしても、もしかしたら、一時的な保育費に収入が費やされてしまったり、働きながらのワンオペ育児に精神的に疲れてしまったり、復帰してもやりがいを感じられずに悩むこともあるかもしれません。
しかし、今回の調査でわかった通り、高収入の男性を探すことの方が大変です。
より現実的に考えるのであれば、共働きで世帯年収1000万円以上をふたりで目指す方が、もしかしたら望む生き方や暮らし方を実現できる可能性が高いかもしれませんね。
最後に
いかがでしたでしょうか。
年収1000万円の男性と結婚したい女性にとっては、これが正解とは限りませんが、少々不安が残る結果となりました。
何が幸せと感じるかは人それぞれですが、ゆくゆくやってくるリスクを踏まえて、今とるべきアクションを見定めて、誰かに幸せにしてもらうよりも、互いに協力しながらを幸せをつくることが懸命であり、充実した人生になりそうな気がします。
ぜひ、この機会に一度将来設計を考えてみてはいかがでしょうか。