
INTERVIEW
こんにちは。モアキャリー編集長の藤本です。
【編集長がいく!働き方改革リサーチ】第4弾は、父親の育児休業取得に注目!
先日まで2年に渡り巡回写真展「スウェーデンのパパたち」をおこなっていたスウェーデン大使館。そのクロージングイベントとして、父親の育児休暇取得を促進する積水ハウス株式会社とイケア・ジャパン株式会社の両社長を交えたパネルディスカッションが開催されました。
日本ではまだまだマイノリティな父親の育児休業取得。会社の後押しもあり、実際に育児休業を取得したパパたちの実体験談を交えたイベントレポートをお届けします。
Contents
巡回写真展「スウェーデンのパパたち」より
北ヨーロッパ、スカンディナヴィア半島に位置する国、スウェーデン。この国では、男女平等が社会の基盤の一角をなし、性別に関わらずすべての人が、仕事によって自らを養い、仕事と家庭を両立させ、虐待や暴力を恐れることなく生活できる権利を有することを包括的な理念としています。
スウェーデン議会における女性議員比率は世界でも最高水準。2014年の選挙後は、全349議席のうち152議席(43.6%)を女性が占め、24ある官僚ポストのうち12人が女性です。
経済、政治、教育、保健の分野における男女平等度を評価する「男女平等ランキング」では常に4位以内の常連国。日本は男女平等ランキング2020で121位ですので、その差は歴然です。
スウェーデンが男女平等のトップリーダーたらしめる要因のひとつには、健全なワークライフバランスを促進する福祉システムがあります。
例えば育児休暇。スウェーデンでは両親合わせて480日間の育児休暇をとる権利があります。この休暇は月・週単位、日割り、時間単位で取得することも可能。
取得日数は依然として女性が多い傾向がありますが、育児休暇のうち90日間は両親それぞれに割り当てられており、他方の親に譲ることはできません。
つまり、父親も90日間、約3ヶ月の育児休暇が義務化されているのです。
平日にベビーカーを押し公園へ出かける父親の姿は、スウェーデンではごく日常的な光景。
ここからは、そんなスウェーデンを発祥の地とする大手家具メーカーIKEA(イケア・ジャパン)、そして最近「イクメン休業」制度を導入し話題を集める積水ハウス株式会社を交えたパネルディスカッションを抜粋してお届けします。
(左から)ペールエリック・ヘーグベリ駐日スウェーデン大使、積水ハウス株式会社 仲井嘉浩社長、イケア・ジャパン株式会社 ヘレン・フォン・ライス社長、モデレーターのジャーナリスト 治部れんげ氏
治部さん:おそらくみなさんが気になっているであろう、積水ハウスで導入された「イクメン休業」制度。これはどんな経緯で生まれたのですか?
積水ハウス株式会社 「イクメン休業」制度
2018年9月より3歳未満の子どもを持つすべての男性社員を対象に、3歳に達する日の前日までに1カ月以上の育児休業取得を推進。最初の1カ月は有給とし、業務との調整を図りやすいよう、最大で4分割での取得も可能に。
仲井社長:この制度を導入しようと思いついたのは、実はスウェーデンへの出張中。ストックホルム郊外にあるスマートシティの見学に行った時でした。
たまたま公園に目をやると、そこでベビーカーを押していたのは全員パパ。そしてこれがまたイケメンばかりで(笑)
聞いてみれば、男性の育休取得が義務化されているというではありませんか。この時の衝撃は大変なものでした。
ヘーグベリ大使:実際に私もスウェーデンにいたころ育休を取得していますよ。妻が最初の8ヶ月、私が9ヶ月休暇をとりました。妻の育休が終わる時、「さぁ次はあなたの番よ」と。
育休中のフルタイム育児は本当に大変でした。どうしたら正解なのかがわからず、困り果てて妻に相談することもありました。
妻は一言、「私も育児は初めてだし、あなたにアドバイスできることは何もないわ。あなたもあなたらしい育児の方法でやればいいのよ。」と。
この言葉に救われたのと同時に、育児は母親にも父親にも平等の課題なんだと痛感したのです。
仲井社長:確かに、平等・共通の課題として、同じ目線でコミュニケーションをはかることが大切かもしれませんね。
同じ目線であるべきは、家庭内のみならず職場でも同じです。
休業中に事業や業務に支障が起きないよう、自分が担っていた仕事の棚卸しを実施したり、引き継ぎ先への連携を進めたりするのですが、この一連の作業によって、休み方のフレキシビリティも上がる。育児休業だけではなく、介護休暇やリフレッシュ休暇などにも対応していくことができるのではないかと考えています。
積水ハウス勤めの男性をパートナーとして選ぶなら、「イクメン休業」制度の後押しもあり、夫婦共働きに理解がある良い選択かもしれませんよ(笑)
治部さん:スウェーデンは、ユニコーン企業が多い世界有数のスタートアップシティでもありますよね。これは男女の公平さや働き方の柔軟性などにも起因するのでしょうか。
ヘーグベリ大使:そうですね、スウェーデンにはフレックスタイム制はもちろん、リモートワークやワーケーションなど、働き方・休み方に柔軟性を取り入れる企業が多くあります。
現在の日本も同様ですが、北欧のスウェーデンは移民がいなければこの先どんどん人口減少していくでしょう。国内の労働市場を活発にするためには、世界中から優秀な人材を集める必要があります。
スウェーデン企業が用意する柔軟度の高い働き方は、魅力のひとつなのではないかと思います。
ライス社長:イケア・ジャパンでも同様のディスカッションがおこなわれていますね。マネジメント候補になるような優秀な人ほど、休暇やキャリアパスの柔軟性などを真剣に考える傾向があります。
イケアでは、実際に1ヶ月に1日はオフィス以外で仕事をする日を推奨しています。
仕事をする場所はカフェでも図書館でも、どこでも構いません。とにかく会社に来てくれるなと(笑)いつもとは違う場所で仕事をすることで、少しでもイノベーティブでクリエイティブな発想につながればと考えています。
日本にとっても、こうしたワークライフバランスへの取り組みは大切なのではないでしょうか。思い切って実施してみるといいかもしれませんね。
父親の育休取得は世の中的にも関心が高まりつつあるテーマ。当日のイベントでは、実際に会社の制度を利用し、育児休暇を取得したパパたちの実体験を聞く機会がありました。
休暇中の1日のスケジュールは?職場復帰後に感じたことは?
こちらもパネルディスカッションの様子を一部抜粋してお届けします。
(左から)IKEA仙台 ストアマネージャー 澤田裕介氏、積水ハウス株式会社埼玉南シャーメゾン支店総務長 大村孝史氏
大村さん:育休取得までに2ヶ月間の準備期間を設けました。
自分が携わっている業務の棚卸しを実施し、スリム化して、他部門なのか部下なのか引き継ぎ先を決めていきました。
積水ハウスの本部からも「何かフォローしますか」とサポートの声もいただいたのですが、部下たちが「その業務もプラスで、私たちがやります!」と声をあげてくれて。
私の育休取得にあたり積極的に協力してくれたことが、何よりうれしかったですね。
澤田さん:私もストアマネージャーを任せてもらっているのですが、育休中は代役を立てるのではなく、ワークシェアリングで乗り切りました。
イケア・ジャパンも、会社のカルチャーとして父親の育休取得に理解が深いので、気兼ねなく休暇を取ることができました。
澤田さん:育休中は朝5時半に起床。すでに幼稚園に通っていた長女を送り出し、その後は家事をこなし、次男と遊んで1日を過ごしていました。
長女の帰宅後、17時には夕食をとり、18時には寝かしつけ。あっという間に1日が終わっていましたね。
復帰後は、定時が18時。「こども達はもう寝るころだな」と考えると、時短の意識が高まり早めに家に帰ろうと思うようになりました。
大村さん:私は2人目が生まれた時に育休を取得したのですが、その時のメインタスクは1人目のお守り。一緒にプールや公園へ行きました。
少しハラハラしたのは、プールや公園にいるママたちから向けられる視線。「あの人、仕事していないのかな」と思われているかもしれないと感じることもありました。
公園からの帰り道には、こどもが帰りたくないと駄々をこねる。これだけでも大変なのですが、「あの人誘拐してるんじゃないか」と思われないかと心配になることもありましたね。
澤田さん:こどものイヤイヤ期は本当に大変だと感じました。育休中だったので、我が家では妻と私の2人で対応できましたが、妻だけにイヤイヤ期のこどもの対応を任せるのは少し酷だなと…。
このように、ママたちの気持ちがわかるようになったことがよかったこと。どんなことにニーズを感じていて、どんなサポートがあったらうれしいのか。自分が当事者としてフルタイム育児を経験したからこそ、得られた感覚だと思います。
またイケア・ジャパンとしてはママ層が顧客ターゲットでもあるので、より身近なニーズを把握する点でもとても良い経験だったと感じています。
大村さん:大変なことはたくさんありましたが、何よりも家庭の絆が深まった感じています。
育休中はこども髪を乾かしながら「今日の楽しかったことベスト3」を聞くようにしていたのですが、その時間がとても幸せだと思いましたね。
職場でも、育休に仕事を任せたことで、チーム内でも私の仕事がクリアになり、会社内でのコミュニケーションがより円滑になったように思います。これもまた育休取得の良い影響かもしれません。
巡回写真展「スウェーデンのパパたち」より
今回は、「父親の育児休業取得」をテーマとしたイベントレポートをお届けしましたが、いかがでしたでしょうか。
日本を見渡してみても、父親の育休取得に理解を示す企業はまだまだ少ないように感じます。
印象的だったのは、育休取得パパが感じた平日昼間の公園でのママたちの視線。
職場での理解はもちろんですが、社会的にも、ステレオタイプを脱し新しい育児のあり方を肯定的に受け入れる必要がありそうです。
これから夫婦共働きの家庭を目指し、自分自身のキャリアも大切に考えていくのであれば、母親側からも「父親の育休取得」を提案してみてもいいかもしれませんね。
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